越後長野温泉嵐渓荘大会報告(2024年6月8日編集長メモより抜粋転載)

秘湯嵐渓荘で『中論』を読む。

2023年12月16日・17日と2日間にわたり、折りしも初雪が舞う新潟県の弥彦温泉みのやで開催された清水高志先生による講義「私たちはどこから来てどこへ行くのか?」は、『中論』全体を読み込んでいこうと大きく方向転換されました。それならば第2回も温泉だということで、哲学をこよなく愛する主人の経営する三条市(旧下田村)の秘湯「嵐渓荘」で、2024年6月7日・8日と第2回大会を開催しました。
(〒955-0167 新潟県三条市長野1450、電話:0256-47-2211)

語る。語る。語る。

今回も懇親会・深夜の座談会を含め、徹底的に『中論』の講究を行いました。今回は『中論』第3章から第16章までが講義内容でした。基本的には『龍樹』(講談社学術文庫)所収の中村元訳『中論』をテキストに読み進めています。

深夜の座談会には、「ゲンロン」を愛読する嵐溪荘の大竹社長も混じっていただき現代思想の潮流について語り、またナーガルジュナ(龍樹)の論法である「一異門破」「五求門破」等を「技」として捉えたらどうか(笑)という提案や、『龍樹菩薩伝』に紹介される「透明人間になって大失敗した」というエピソード等についても語りました。

また、清水先生には、非常にお疲れのところ、2日目は西田幾多郎の「絶対矛盾的自己同一」について教えて欲しいという要望で、仏教思想との関連からお話いただきました。次回は西田哲学についてもさらに詳しく講義していただけるということです。

今回は撮影班・子ども班も交えて盛会となりましたので、世界的なアウトドアメーカーであり、三条市(旧下田村)を代表する企業であるスノーピークの「雪峰祭」に、休憩がてら行ってきました(たまたま同日に開催されていた)。

大自然の中、子どもの追いかけっこにつきあわされる清水先生

猿は去るが、猿は去らない。講義は次回に続く。

ちなみに旧下田村は大自然。帰路、清水先生と八木鼻という断崖絶壁の下でニホンザルの群れに遭遇しました。今年は昨年の猛暑の影響で山に餌が少ないためか、県内いたるところでサルが里に降りて暴れています。まさに「サルものは去らない」はずですが、カメラを向けられた猿は警戒して去っていきました。しかし講義を終えた私たちには解っていました。去ったのは私たちで、先生は大宮へ、私は市内へ去り、ニホンザルは最初から最後まで山中にいたのです……。参加していただいた皆さん、こんな無理な日程を、ありがとうございました!

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