それでも私たちは、新潟県内の温泉で『中論』を読み続けています。
第1回弥彦温泉みのや、第2回越後長野温泉嵐渓荘と続け、第3回となる今回、つまり2024年7月20日・21日は、清水高志先生(東洋大学教授)を講師に蓬平温泉和泉屋を会場にて、1泊2日で『中論』を最後まで読み切る「地獄の夏合宿」が行われました。
(〒940-1122 新潟県長岡市蓬平町甲1508-2、電話:0258-23-2231)
今回は『中論』の第17章から第27章(最終章)までということでしたが、ナーガルジュナ(龍樹)の主な論敵である説一切有部の「三世実有法体恒有」の思想はかなり手強く、そして私たちの大テーマ「私たちはどこから来てどこへ行くのか?」の答えとしては優れていることがわかり、途中で有部の信者になりそうになりましたが(笑)、清水先生の粘り強い講読の成果でなんとかなりました。
語る。語る。語る。
今回も懇親会と深夜の座談会で徹底的に講究しましたが、まる1日ナーガルジュナと対峙して疲弊しきってきたため、2日目には関連する西田幾多郎の「現実の世界の論理的構造」〔『西田幾多郎講演集』(岩波文庫)所収〕を講義していただきました。かなり解像度が上がってきました。1日目に説一切有部の中心思想である「生滅」の前提となる「時間論」について『中論』で繰り返し説明(論破)されていましたので、この論文で展開される西田の時間論(及び空間論)は理解の補助線となりそうです。
参加していただいた皆さん、無理を聞いていただいた和泉屋さん、今回も無理難題につきあっていただいた清水先生、ありがとうございました!
ここには、龍がいる。
なお、こちら蓬平温泉ですが、2004年の中越地震の震源地であり、また龍神をまつる高龍神社の麓でもあります。私たち真宗門徒は神祇不拝ですが、ナーガルジュナ(龍樹)との縁を感じる2日間でした。
眠られぬ今夜のおやすみBOOKS
- 櫻部建・上山春平『存在の分析〈アビダルマ〉』(角川ソフィア文庫)
- 『西田幾多郎講演集』(岩波文庫)
- 滝沢克己『西田哲学の根本問題』(こぶし書房)
- 中沢新一『レンマ学』(講談社)
- 中沢新一『構造の奥』(講談社選書メチエ)